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...
「誰?」
すぐに優希くんに視線を向けて問いかけた臣さん。
『バイト先の先輩です。』
優希くんの前でも平然とキスをする臣さんに戸惑いながら答えた。
「...どうも。」
何だかトーンが怖い優希くんは臣さんに軽く?挨拶すると、今度は私の目を見た
「A...彼氏?...いたの?」
『えっと...んー、いた?かな?...』
何て、答えれば正解なのか、臣さんには面倒だから結婚の事はわたしの周りには言わなくていいとは言われてたし、この場でもそうした方がいいのか、濁すように答えた。
臣さんは私の肩に腕んでいて
「そーゆうこと」
なんて言ってくるりと優希くんに背を向けてマンションへと歩きだした。
もちろん私も肩を組まれて一緒に歩き出して、慌てて優希くんに顔だけ振り返った。
じっと立ち尽くす優希くんの瞳が何故だか悲しそうで、
今日のお礼を言いたかったのにそれさえも出来なかった。
臣さんに連れられてエレベーターにのり自宅に帰り着く。
玄関に入ると、やっと肩を離した臣さんは靴をぬぐとスタスタとリビングへと入って行く。
それに続いて私も中に入った。
すでに緩くされたネクタイを鬱陶しそうに解きながら
「よく飯いってる先輩って男だったの?」
そう言った臣さん
『はい』
少しトーンの落ちた臣さんに小さく返事をした。
明らかに機嫌が悪い臣さんはシャツのボタンを外しながら言った。
「2人きりで何処かに出かけるのはやめて。ここでは契約だけど世間では不倫になりかねないし...」
ごもっともです。
土下座もんです。
『本当にすいません。立場をわきまえます』
謝る私を横にtシャツに着替えた臣さんはソファーに座ってすぐ隣をここに座れと言わんばかりにポンポンと叩いた。
私が隣に座ったのを見届けた臣さんは口を開いた...
「...嘘だよ。2人で出かけていいし、Aは好きに恋愛していいよ。」
優し顔してるけど、どこか哀しげな表情。
『...でも』
不倫騒動にでもなれぼ臣さんの顔が潰れる
私の言葉を遮るように
「揉み消すし...Aは何も気にしなくていいよ」
そう言った。
...恋愛ってそもそも、優希くんとはそんな仲では無いし
私が好きなのは臣さんなんだけどな
なんて事はもちろん言えなくて...
無性に悲しくなった。
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作者名:青空 | 作成日時:2024年3月26日 1時