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お姫様と最終確認 ページ18

「A、お帰り。…なんでシャークんにお姫様抱っこされてるの?」

苦笑いを浮かべるきんとき君に突っ込まれた。

「不可抗力だよぉ…。」

部室に着いてやっと降ろしてくれた。

「えー、シャけズルい…。おれもAお姫様抱っこしたい。」

「張り合わなくていいよ、Nakamu君…。ていうか何故張り合うの…。」

「それより!A大丈夫だったの?いくら作戦の為とは言え、階段から落ちるなんて…。」

心配そうに眉を寄せたカルアちゃんが私の両手を握る。

「大丈夫だよ。初めてじゃないし…シャークん君が受け止めてくれるって信じてたから。」

「だとしても心配なの〜!受け止めきれなくて怪我しちゃう可能性だってあるかもだし…。本当はそんな危険な作戦、承諾したくないんだからね!」

プンプン、という効果音が似合いそうな程可愛らしい怒り方をするカルアちゃん。カルアちゃんの気持ちは嬉しいけど、私はその心配は一切してないんだよなぁ。私を受け止めきれないなんてそんな万が一ありえないもんね?

「でもそういうことなら上手くいったんだ?」

「あれだけ大勢の目撃者がいる中でやってません、は通じないだろ。実際やってないけど、あの状況じゃ吉祥寺がAを突き落としたようにしか見えないしな。流石に転校せざるをえないと思う。」

「てことはやっと開放されるのか〜!」

「なんか…期待外れだったなぁ。もっと楽しませてくれるかと思ってたんだけど。」

嬉しそうな瑠玖には申し訳ないけど、もうちょっと骨のある子だと思ってたのに。

「俺今回何も出来なかったけど…。」

「シャークん君がやる気になってくれたからね。でも、スマイル君が居てくれるだけで私はいつも助かってるよ?」

「…なら、いいけど。」

「多分そろそろ先生方が騒ぎに気づいて話を聞きに来るかもね。吉祥寺愛海がAを突き落とした。それでいいんだよね?」

確認するNakamu君に私は頷く。

「うん、そう言ってくれたら吉祥寺愛海を追い出せると思うよ。」

これが私達の総意。吉祥寺愛海という異分子を追い出す為の総意。酷いって思われるかもしれないけど、私達の居場所を守るためだから仕方ない。…そう、仕方ないんだよ。

私はもう、自分が弱いせいで居場所を奪われたくない。皆と居れるこの居場所を、壊されたくないんだ。

「…そうだよね、瑠玖。」

誰にも聞こえないように、愛おしい弟の名前を呼んだ。

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作者名:さくらもち | 作成日時:2024年3月20日 17時

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