【d!】シンデレラ♂を迎えに来ないでください (ページ11)

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その叫び声をもろに喰らったグルッペンは思わず耳を抑えて後ずさった。

しかし、グルッペンの鼓膜に大ダメージを与えた張本人は依然としてそこに座り込んでいる。

『くそ……』

叫んで何か吹っ切れたのだろうか、Aは顔を上げた拍子にぽろぽろとこぼれた涙を乱暴に拭うとまだ耳を抑えているグルッペンをキッと睨みつけ、足を踏み鳴らしながらギャンギャンと吠えまくる。

『ふざけんなふざけんなふざけんな！！！！痛いし！！怖いし！！もう無理まじで！！！！出会う男みんなイケメンだったのもすげぇムカつく！！！！』

gr「は…？」

『うるっせーよ！！！なんだよ！！なんか知らん奴に睨まれるこっちの身にもなれよ！！こえーんだよ！！！』

こうなったらもう止まらない。Aの口から我慢していた不満や怒りが一気に溢れ出す。

呆けた顔のグルッペンも、
あと少しで十二時を指そうとしている時計台も、Aの涙で滲んだ視界には写っていなかった。

『第一、おかしいだろ！！！ほっとけよ一人ぐらい！！なんも悪いことしてないだろ！！優しく道案内ぐらいしろよ！！！』

『まだばあちゃんの葬式だって挙げれてないのに！！！こんなところで死んでたまるか！！！！』

Aが一息でそう言い切った直後、

＿ゴーン、ゴーン、ゴーン＿

空気を震わせる鐘の音が、Aを現実に引き戻した。

頭がサッと冷えていく。冷静になったAの目に、かなりドン引きしている様子のグルッペンが写った。

やっちまった。
我が国の総統閣下に、とんだ暴言を、いやまず、十二時だ。まだドレスは消えてないけど、何が起きるかわからない、隠れなきゃ、隠れてやり過ごすんだ。

混乱しながらもAはふらふらと後ずさり、階段を降りようとする。

『あ』

後ろ向きだったのがまずかった。運悪く、ずるりとガラスの靴から足が抜けて階段から足を踏み外した。

そのままAの重心が後ろに傾き、バランスを崩したAが階段から転げ落ちた＿